恩師③ 為せば成る
- 陽平 丸山
- 2024年10月25日
- 読了時間: 3分
更新日:4月4日
人生での恩師3人目は、27歳の頃の上司だ。
彼は、私が国税局に登用され、幹部候補となるきっかけを作ってくれた♪
国税の職場では、埼玉に税務大学校本校という研修施設があり、そこでは様々な研修が行われている。なかでも本科研修は、高卒の調査官が大卒の国税専門官に肩を並べるための研修である。本科研修は、いわば幹部職員になる登竜門なのだ。
しかし本科研修に行くためには、一次試験では一般教養、二次試験では税法の試験と面接を突破しなければならない。しかも、本科研修の試験は年1回、受験資格は10回しかなかった。
私は、なんの準備もせず試験を受け続け、5回連続で一次試験にすら合格できなかった。というのも、私はそれまで本科研修に全く興味がなかったし、何より、勉強がそんなに好きではなかった🏄♂️
ところが、後輩が合格したのを知って、初めて私も本科研修にいきたいと思うようになった。(関東方面の波にも興味はあったが笑)そうはいっても、二次試験はおろか、一次試験ですら合格したことのなかった私には、どうしたら試験に合格できるのか、さっぱりわからなかった。
そんな時、上司との面談があり、本科研修にいきたいと伝えた。彼はとても頭の回転が速く、良くも悪くも思ったことを直ぐ口にしてしまう人だった。家が近所だったよしみで、私のことを気に掛けていてくれていた。
彼は、「少し時間をくれ」と答えたが、その翌週には、勤務時間終了後に、民法を教えてくれるようになった。なんでも、彼曰く、一次試験の過去問を分析したところ、民法の問題をとれるようになると一次試験の合格にかなり近づくとのことだった。
そうして、私以外の本科試験を目指す者も集まり、毎週、民法の勉強会が行われるようになった。休日を利用し、みんなで泊まり込みの合宿も行った。朝から晩まで民法漬けであった📝
結果、見事一次試験に初めて合格した。二次試験日の直前は、運悪く徹夜仕事が続き、心が折れそうになったが、通勤時間などを利用し、諦めずに必死でやりきり、なんとか自信を持って筆記試験に挑み、それなりの手応えであった。
それから4ケ月が経過し、ついに、私にとって縁遠いと思われた本科研修の合格通知が届いた。まさに、為せば成るを実感した瞬間だった🙌
そうして、迎えた本科研修でも民法の勉強は役立ったし、なにより、本科試験に向けてコツコツ勉強していたことが習慣となっていて、本科研修での勉強漬けの毎日を乗り越えることができた。
本科研修後には、国税局内の各部署でいろんな仕事に従事することができたし、税務署では幹部として、個人課税部門全体の運営をさせていただくことができた。
それもこれも、私の本科研修にいきたいという思いに答え、長い時間を割いて、合格までの道筋をつけてくれた彼のおかげだ。また、民法を学ぶことの楽しさも教えてくれた。
あまり好きではなかった勉強も、仕事が大変な時期も、「為せば成る」の精神で乗り越えることができた。
結果的に国税を早期退職することになり、研修や国税組織で得た知識と経験を組織に恩返しできないことは申し訳ないと思う。それでも、国税局主管課や幹部職員として貢献できたと思うし、税理士としての立場から今後も税務行政に貢献が出来たらと考えている。
ちなみに、民法を教えてくれた上司は、後に講義・研修が上手いと評判になり、様々な研修を開催した。現在は定年を迎え税理士となっているが、大学で客員教授として講義を行っている。
上司が退職後、偶然国税局のロビーで久しぶりにお会いした時には、「丸山の本科研修に行きたいとの相談で、俺も人に法律を教えるいい機会やったわ。」と彼にとっても人生のターニングポイントとなったそうだ😊

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